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ヒアリングで選ばれる営業へ。説明より先にお客様の困りごとを聞く

商品のことはよく知っている。説明もうまくなった。それなのに、お客様の反応がいまひとつ。そんなとき、見直したいのは「話す順番」です。

説明が上手な営業ほど、聞くのを急ぎがち

商品に詳しい営業ほど、良さを早く伝えたくなります。お客様のためを思ってのことです。その気持ちは大切です。

ただ、お客様の困りごとがわからないまま説明を始めると、話がずれていきます。お客様が知りたいのは「この商品のすごさ」ではなく、「自分の困りごとがどうなるか」だからです。

ずれた説明は、どれほど丁寧でも届きません。「よくわからないけど、押されている」と感じさせてしまうこともあります。

まず聞くのは「何を」ではなく「なぜ」

ヒアリングというと、予算や時期、希望の条件を聞くことだと思われがちです。もちろん、それも必要です。けれど、その前に聞きたいのが「なぜ、いま考えておられるのか」です。

同じ「広い車がほしい」でも、理由は人によって違います。お子さんが増えた方、趣味の道具を積みたい方、ご両親の送り迎えが増えた方。理由が違えば、ふさわしい答えも変わります。

たとえば、こんな聞き方があります。

「今回、ご検討を始められたきっかけを教えていただけますか」

「いま、いちばん困っておられるのはどんなところでしょうか」

「これが解決したら、どんな状態になっているとうれしいですか」

最後の問いは、お客様の「目的」を聞くものです。困りごとの先にある、本当に望んでいる姿が見えてきます。

聞くときに気をつけたい三つのこと

  1. 途中で答えを出さない。話の途中で「それならこの商品が」と言いたくなっても、ぐっとこらえます。最後まで聞いてから、まとめて返します。
  2. 言葉を繰り返して確かめる。「つまり、〇〇でお困りということですね」と、聞いたことを自分の言葉で返します。ずれがあれば、お客様が直してくださいます。
  3. メモをとる姿を見せる。大事な話を聞いていることが伝わります。次に会うときの準備にもなります。

聞く時間は、話す時間より長くてかまいません。お客様がたくさん話してくださった商談ほど、あとの提案はすっと入っていきます。

お客様の「その先」まで考えて提案する

困りごとと目的がわかったら、提案はそこから組み立てます。ここで一歩踏み込みたいのが、お客様の「その先」を考えることです。

いま必要なものだけでなく、数年後にどうなっていそうか。法人のお客様なら、その会社のお客様にどう役立つか。そこまで想像して提案できると、「この人はわかってくれている」と感じていただけます。

研究の世界でも、相手の役に立とうとする姿勢や、相手のためにしてくれたことへのお返しの気持ちが、信頼や関係を支えると言われています(チャルディーニの返報性の考え方など)。先に聞くことは、先に差し出すことでもあるのです。

「聞く」は、相手を大切にしているというメッセージ

じっくり聞いてもらえると、人は「大切にされている」と感じます。それだけで、営業への見方が変わります。

反対に、聞かずに話し続ける営業には、どれほど良い商品でも身構えてしまいます。お客様が「売り込まれている」と感じるのは、たいていこの順番が逆のときです。

聞く力は、生まれつきのものではありません。順番を意識し、問いを用意しておけば、誰でも身につけられます。

説明の上手さは、聞いたあとで生きてきます。まずは聞く。それが、恩を先に渡す営業の第一歩です。

聞いたことは、次の商談への宿題になる

一度で全部を聞き出す必要はありません。初めての商談では、お客様もまだ話しにくいことがあります。

聞けたことは記録し、聞けなかったことは次の宿題にします。「前回うかがった〇〇について、もう少し教えていただけますか」と続ければ、話はさらに深まります。

こうして聞くことを重ねるうちに、お客様の方から相談してくださるようになります。それが、説明が上手な営業から、頼られる営業へ変わる道すじです。

業種別のヒント

  • 自動車販売:車種の話の前に、ふだん誰が、どこへ、どんなふうに乗るのかを聞きます。毎日の使い方がわかると、勧める一台がはっきりします。
  • 不動産:間取りや予算の前に、「どんな暮らしをしたいか」を聞きます。通勤、子育て、老後など、住まいの先にある暮らしが提案の軸になります。
  • 法人営業:製品の仕様より先に、相手の会社がいま抱えている課題と、そのお客様が求めていることを聞きます。決める方が社内で説明しやすい提案になります。

明日からの一歩

  • 次の商談の最初の5分は、説明をせず「きっかけ」と「困りごと」を聞くことに使う。
  • 聞いた内容を「つまり〇〇ということですね」と一度まとめて返す。
  • 提案書の一行目に、お客様の目的を書く。

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この記事は、トラスト(信頼)営業チェックの問17「説明より先に、お客様の困りごとや目的を聞いている」と問20「お客様のその先まで考えて提案している」に対応しています。ほかの問いもあわせて、40問であなたの営業の強みと伸びしろを確かめてみてください。

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