事業承継と後継者育成の基本――中小企業の「引き継ぎ」で大切なこと

私の家は、七代続いた織物屋でした。幼いころから工場を手伝っていましたが、家業を継ぐことはできず、看板を下ろすことになりました。工場が取り壊される光景は、今も忘れられません。だからこそ、会社を次の世代へつなぐことの重さを、身にしみて感じています。
事業承継とは
事業承継とは、会社の経営を、次の経営者へ引き継ぐことです。引き継ぐものは、株式や事業用の資産だけではありません。取引先との信頼、社員との関係、会社が大事にしてきた考え方。目に見えないものこそ、引き継ぎがいちばん難しい部分です。
3つの引き継ぎ方
親族内での承継
子どもや親族が後を継ぐ形です。社員や取引先に受け入れられやすい一方で、先代との関係が近い分、ぶつかりやすいという難しさもあります。
社内での承継
役員や社員の中から、後継者を選ぶ形です。仕事をよく知っている人が継ぐため、現場の混乱は少なくなります。株式をどう引き継ぐかが課題になりやすいところです。
社外への承継
M&Aなどで、外の会社や人に引き継ぐ形です。後継者がいない会社にとって、事業と雇用を守るための大切な選択肢です。
後継者育成で大切なこと
早く始める
後継者が経営者として育つには、長い時間がかかります。引き継ぐ5年前、10年前から、少しずつ役割と経験を積ませていくことが大切です。
先代が「任せる」覚悟を持つ
後継者が育たない会社では、先代がいつまでも決定権を手放さないことがよくあります。失敗も含めて任せる経験がなければ、後継者は経営者になれません。
幹部・社員との関係をつくる
後継者が社長になったとき、支えてくれるのは古参の幹部や社員です。先代の時代から会社を支えてきた人たちとの関係を、承継の前から丁寧に築いておく必要があります。
うまくいかない会社に共通すること
- 承継の時期や方法を、誰にも話さないまま先延ばしにしている
- 先代と後継者が、会社の将来について本音で話していない
- 後継者に、経営を学ぶ機会や相談できる相手がいない
想いを引き継ぐ
会社が何十年も続いてきたのは、売上や規模のおかげだけではありません。お客様や地域、社員を大切にしてきた想いがあったからです。事業承継は、その想いを次の世代に手渡すことです。先代と後継者の間に立つ人がいるだけで、引き継ぎはずっと進めやすくなります。
事業承継・後継者育成のご相談
先代と後継者の間に入り、会社の想いと仕事を次の世代へつなぐお手伝いをしています。後継者の育成、幹部との関係づくり、組織の立て直しまで伴走します。

